光の模様

概要

井上 麻由美　Mayumi Inoué
光の模様

井上麻由美は､写真や織の技法を用いて制作する造形作家です。
2018 -2022年までフランス・パリを拠点に活動しました。
(2020 -2022年は文化庁新進海外芸術家派遣制度にて滞在)

本展のタイトルは､織ったネガフィルムをゼラチンシルバープリントで現像したシリーズ「光の模様」から引用しています。
蚤の市でみつけた古いネガフィルムには､知らない家族のプライベートな思い出が納められていました。
これまで本・楽譜・手紙・ 故人の資料・がん患者の髪などを素材に制作をしてきました。どの素材にも人々の物語が満ちています。糸を積み重ねて布を生み出す「織」は､時間の蓄積を象徴する技法です。私が作品で扱う「記憶・時間」を伴う素材と相性が良いと感じています。
素材に流れる時間や記憶を丹念に織り込みながら､作品として新しい物語を甦らせる。それは記憶の素材を私に残してくれた人々の人生そのものを称賛し､誇りを与えることに繋がると思っています。 同時に､観る人には記憶の繋がりによる生命の 永続性を問いかけようとしています。

また本展では､新作の妊婦と胎児の写真シリーズ「à la mère」を発表しています。