EVENT & ART EXHIBITION
Easy, easy.
林 季里
概要
林 季里 イラストポスター展
「たやすく、簡単にできること」を意味するこの言い回しは、
一度は耳にしたことがあるかもしれません。
日本語で言うところの「朝飯前」や「お茶の子さいさい」と
同じような慣用句です。
約 2 年前、私はアムステルダムの街角のカフェで働いてみたり、
ヨーロッパを転々と旅をし、さまざまな土地に住まいながら
移動していた時期がありました。
ある日、とある田舎の山奥で、
パイを焼くのが日課のギーという名のおじさんの家に
住まわせてもらっていたときのこと。
おやつに焼きたてのシュガーパイを食べながら、
彼はポロッとこう言いました。
「こりゃあうまくできたな。ペロリと食べられちゃう。
まさに” It’s a piece of cake. ” だ。ちなみにここでは、
“Comme une lettre à la poste.”(ポストに手紙を投函するようなもの)って
表現するんだけどね」
すると、その場に一緒に泊まっていた、
別の国からやってきていたイゴーという名の旅人が
「それ、僕の地域では、”Bułka z masłem.” (パンにバターを塗るようなもの)と言うよ」
と教えてくれたのです。
もしかして地域ごとに、
「簡単にできること」を表す言葉があるのかも。
そう思い、私は土地を移動するたびに
「前に泊めてもらった場所では
こんな風に表現していたのだけど、あなたはどう?」と、
一緒に食卓を囲んでいるときなどに尋ねていきました。
すると、その土地の暮らしや感覚がにじむ、
異なったユニークな言い回しが
次々と返ってきたのです。
今回展示するイラストは、
そうして出会った言葉を、
そのとき流れていた時間や空気、
教えてくれた人たちの表情を思い浮かべながら、
記憶を宝箱にしまうような気持ちで、
一枚一枚、自身の解釈で表現したものです。
もしかすると、既にどこかに、整理された言語
の資料のようなものがあるのかもしれません。
それでも、旅の中で出会えた言葉をどうしても自分なりの方法で
形に残したかったのです。
キャプションでは、教えてくれた人とのちょっとした思い出とともに、
それぞれ異なる「簡単にできること」を意味する言葉の表現を紹介しています。
イラストとあわせて、ひとつひとつの違いを
楽しんでもらえたら嬉しいです。