今日はどんな作品がみられるのかしら。
どう、あなたも出品してみたら?

EVENT & ART EXHIBITION

「月煙る」

長嶋祐成

24th Oct (Mon) - 6th Nov (Sun) 2022

概要

東京から石垣島へ移り住んで初めての秋、深夜のサンゴ礁に出た。頭上に煌々たる満月が照り映える、大潮の干潮。海ははるか沖まで干上がっていた。
懐中電灯の光にサンゴや海藻の極彩色が浮かぶ。目を覚ました魚がピシャッと飛び跳ね、タコは陰から陰へ音もなく身を滑らせる。
飽くことなく歩き続け、とうとう礁の外縁までやってきた。足もとはストンと落ち込む切り立った崖で、手にした光は海底まで届かない。足がすくむ。すくむと海のただ中に立っている自身をもっとつぶさに感じてみたくなって、灯りのスイッチを切った。
一瞬の完璧な闇の後、白白と煙る月の光の中から影絵のように景色が立ち上がった。

●プロフィール

長嶋祐成

大阪出身、39歳。
魚に親しんだ少年期の後、学生時代は思想を専攻。さらに服飾の領域で表現と哲学を学びました。
その後は広告業界に就職し、2010年頃から仕事の傍ら魚の絵を描き始めました。2016年、退職とともに石垣島へ移り住み、魚の絵を専業に。以降は「魚と水棲生物のみを描く画家」として、水族館や博物館の空間デザイン、WEBデザイン、書籍や雑誌の装画・挿画の領域での仕事を請け負いつつ、個展で自分自身の表現を続けています。

主な実績
【水族館/博物館】
・京都水族館 魚名板/館内サイン/入館チケット等
・北九州市立水環境館 魚名板/館内サイン
・陸前高田市立博物館 館内展示(2022年11月5日開館予定)
【著書】
・『きりみ』河出書房新社(2018)
・『THE FISH 魚と出会う図鑑』河出書房新社(2020)
【書籍・雑誌】
・挿画『The Fly Fisher』Gestalten(2017)
・特集『illustration No222 生き物を描く人』玄光社(2019)
・挿画『たくさんのふしぎ 釣って 食べて 調べる 深海魚』平坂寛・キッチンミノル、福音館書店(2021)
・装画『ゆく川の流れは、動的平衡』福岡伸一著、朝日新聞出版、(2022)
・挿画 映画『さかなのこ』パンフレット(2022)
【WEB】
・鮭と鰻のWEB図鑑(2021)